内閣府の「令和元年版高齢社会白書」の調べでは、令和2年に65歳で一人で生活している人数は、男性243万5千人、女性459万人、合計702万5千人(推計)でした。
2000年(平成12年)の調査では、男性74万2千人、女性229万人の合計303万2千人でしたから、20年で倍以上に伸びていることになります。
一人住まい高齢者は、今後ますます増え続け、2030年には795万人、2035年には841万人、2040年には896万人になるそうです。
<65歳以上人口に占める割合(男女別、折れ線グラフ) 内閣府令和元年版高齢社会白書より>
実際、私のまわりにも65歳以上の一人住まいの方が、たくさんいらっしゃいます。
未婚、離婚、死別、別居と理由は皆さんそれぞれですが、一人住まいの方は本当に多くなりました。
不安のスタートは健康問題
当パソコン教室 には、80代でパソコンやスマホを習いにきている方がいるのですが、皆さん年々歳を重ねるに従い不安を口にすることが多くなってきました。
一番の不安は、やっぱり健康のことです。腰、膝、息切れなど、次々と現れてくる体の不調に「この先どうなってしまうのか・・」と考えてしまうそうです。
同時に「自分の能力の衰え」も実感。忘れ物をすると「認知かしら・・」と不安になるとか・・。
出歩くのが辛く億劫になると、筋肉が落ちてしまい「サルコペニア」という状態になり悪循環へと進んでしまいます。
時折流れる孤独死のニュースに、自分の姿が重なり「怖くなってしまう・・」と寂しそうに話していました。
元気なうちにサ高住に住む
そんななか、70歳後半で数件のサ高住に住み、ゴルフ、カラオケ、ボランティアとシニアライフを謳歌している男性の方がいます。
車を持ち、サ高住からゴルフバックを積んでコースに出る姿は、かっこよいシニアです。
彼には家族がいるのですが、訳があって一人住まいをしています。「食事のまずいところには住めない」と、これまでサ高住を2回変えました。
彼を見ていると、サ高住のシステムをとてもうまく利用していると感じます。
健康管理や食事、荷物の受け渡し、万が一の対応などはサ高住のサービスに任せ、不安要素を取り払いとても自由に生活しています。
受付や手配、管理をしてくれるコンシェルジュ(生活相談員)や、リビングにいた入居者の方と話をするので、寂しさはほとんど感じないと言います。
施設で作られたバランスのよい温かい食事を食べ、外出、外泊も自由です。
介護が必要になったら関連会社が運営している施設に移れ、看取りもあるので老後の不安は何もないと話してました。
かなり資産のお持ちの方なので老後資金の問題もありません。
まさしく「やすらぎの郷」のような理想の老後生活を、サ高住で送っています。
では、お金持ちではないと快適なサ高住には住めないのか?と言うと、そんなことはありません。
かなり便利な「サ高住」住まい
サ高住である「サービス付き高齢者住宅」は、「地域包括ケアシステム」拡充の施策として2011年に創設されました。
簡単にまとめると、次のような特徴があります。
【サービス付き高齢者住宅とは】
- 60歳以上の高齢者、あるいは要介護認定を受けた60歳未満の方が入居
- 基本は賃貸借契約(利用権方式もある)だが契約更新はなし
- 建物はバリアフリー対応、原則として25㎡以上の部屋にトイレ、風呂、キッチン付の設備
- 日中は医療・介護の有資格者が常駐し、安否確認と生活相談サービスを提供
- 住宅機能を提供する「一般型」と介護が併設された「介護型(特定施設)」がある
その他、住居者が集えるリビングや、希望者には食事提供のサービスなどがあります。
サ高住はマンションなとど同じ賃貸契約ですので、365日、24時間自由に外出でき旅行にいくのも可能です。
あらためて「サ高住」を調べてみると、一人住まいの高齢者にとっての不安材料をすべてクリアしてくれる施設であることがわかります。
サ高住とアパート住まいの費用を比較
【賃貸住居住まいのときの費用】
・家賃 8.5万円(さいたま市1LDK)
・管理費 5千円
合計9.0万円
【サ高住のときの費用】
・家賃 7.65万円(さいたま市 X施設)
・共用費 1.68万円
・サービス提供料 3.42万円
合計12.75万円
食事や、雑費、医療費などを除いた費用ですが、賃貸住まいの場合9万円、サ高住の場合は12.75万円で、その差は3.75万円です。
賃貸住宅に住み、緊急連絡や安否確認サービスを外部へ依頼すると、それなりに費用がかかりますので、費用の差はほとんどありません。
また、将来介護が必要になったときでも、サ高住に住みながら介護サービスが受けられるので安心です。
けっこう快適なサ高住の居住環境
サ高住は、基本的には部屋の広さが25㎡以上とされていますので約16畳の広さがあります。
そこにバス、トイレ、台所がセットされているのですが、8畳間2部屋分の広さは一人生活には十分な広さです。
友人を呼ぶことも自由ですし、簡易ベットなどを用意して宿泊させることも自由です。
台所も本格的に料理するだけの広さもあり、完全自炊も可能です。
ドアを閉めれば、まったく賃貸の住居と変らず、自分の空間として快適に生活することができます。
注意する点は、サ高住により、要介護の進行状態や認知の度合いによっては退去を求められる施設もあります。
自分が快適に過ごせる環境かどうか実際に見学し、入居条件、退去条件などが書かれた契約書の内容、介護が必要になったときのサービスや料金をしっかり確認し検討するようにしてください。
サ高住により、終の棲家とすることも可能な施設もあります。
元気なうちからサ高住へ移り住んでの生活は、おおいに「アリ」ではないでしょうか。