週刊ポスト(2019年1月1日/4日合併号)で「100歳までの年金受給額 こんなに減らされる」を特集していました。
記事によると、年金受給金額をずっと同額もらえると思っていると「老後破産」してしまうと指摘しています。
つまり、今もらっている年金は生涯にわたり確定した金額ではなく、受給金額が変動する年金であるということです。
年金減額の理由は「マクロ経済スライド」
その理由は、年金制度に「マクロ経済スライド」という仕組みがあるためです。
このシステムは「年金の給付金額を調整する仕組み」として、少子化高齢化対策として2004年に制定されました。
保険料を払ってくれる若い人の人口が減り、長寿命により高齢者がどんどん増えているため、このままでは年金財源は破綻してしまいます。
プラスの要因となるのが、経済成長によって賃金や物価がアップし保険料が増加することなのですが、逆に経済減退でマイナスということもあります。
年金破綻を防ぐには、若者人口(保険料を払う人)、高齢者の平均余命、経済状況をすべて加味して年金金額を調整するしかないという制度なのです。
単純に説明すると、こんな仕組みになります。
・保険料を払う人口(若者)の減少率
・高齢者の平均余命の伸び
(2)経済調整分
・賃金変動率
・物価変動率
マクロ経済スライド調整率=(1)+(2)
スライド調整率は、平成26年は0.999、平成28年は据え置きで0.999、平成29年は0.998と、わずかですが年々下がってきています。
平成30年度についての見通しについて、日本年金機構で以下のようなコメントを出しています。
●平成30年度のマクロ経済スライドについて
平成30年度の年金額は、年金額改定に用いる名目手取り賃金変動率がマイナスで、物価変動率がプラスとなることから、新規裁定年金・既裁定年金ともにスライドなしとなりました。
マクロ経済スライドによる調整は、賃金・物価変動率がともにプラスの時のみ適用されるものであり、平成30年度においては調整されないので、マクロ経済スライドによる年金額への影響はありません。
参照:日本年金機構
今後はさらに少子化が進み、平均寿命がますます伸びていくことから、(1)のマイナス調整が膨らむばかりです。
期待の経済成長は、アメリカと中国に振り回されて世界経済の失速が懸念されていますので、しばらく(2)がプラス要因になることは期待できません。
そうなると、マクロ経済スライド調整率は、マイナスの方向にどんどん進むことになります。
年金額が年間0.9%ずつ減額の恐れも
週刊ポストでは、このマクロ経済スライドが、「当面の間年間0.9%ずつ目減りする可能性がある」と指摘しています。
そうなると、2018年に65歳で月額16万の年金をもらっている人の年金受給金額は、
・2018年 約16万円
・10年後 約14.6万円
・20年後 約13.4万円
・30年後 約12.2万円
になってしまう恐れもあるとか・・・。
さらに後期高齢者の医療費負担増(1割から3割へ)や、介護費用の増額などが検討していますので、高齢者になる私たちはたまったもんではありませんよね。
こんな記事を見ていると、定年後のゆとりの生活なんて夢のような話ですね。
平成30年度の平均年金受給額は、国民年金が5万5373円、厚生年金は14万5638円でした。
この金額からスライド調整され減額していくのかと思うと、本当にどうして良いかわかりません。
政府が推進する70歳定年、年金繰り下げ受給による年金アップは、年金政策のミスをごまかすためのような気がしてきます。
年金は1カ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増額するといいますが、70歳まで繰り下げたときの損得分岐年齢は81歳11ヶ月(約82歳)。
ただし、これは年金金額が同額で推移した時の計算ですので、スライド調整した場合の損得分岐年齢へさらに遠くなります。
さらに、受給金額アップによる税金負担増があった場合、実質どれだけメリットがあるのか甚だ疑問です。
今のうちから対策を講じないと大変なことになる
政府は在宅介護を推進していますが、自宅での介護は過酷で非現実的です。
歩けるうちはなんとかなりますが、歩けなくなくなった時点でみんなギブアップしてしまいます。
実際、私の実家でも母が歩けなくなり、身体を支えながらの母の夜のトイレ通いやオムツの交換で家族がギブアップしました。
母も下の世話で気兼しなくてよい施設を強く希望したこともあり、介護施設に移ってもらいました。
かかっている費用は月額約15万円。父の遺族年金でなんとかギリギリ賄っている状態です。
政府の無駄遣い、政策の失敗は誰も責任とらず、すべて国民負担に回されてはたまったもんじゃありません。
人生100年時代なんて言われてますが、こんな状態ですと本当に「高齢者の老後破産」にまっしぐらという感じですよね。
解決策は働き続けるしかないのですが、高齢者が働ける環境だって整備されていない・・。
「あーーー、どうしよう!!」というお先真っ暗な気持ちになってきます。
こんな暗いニュースばかりですが「少しでも明るい老後」を過ごすべく皆さんで有意義な情報をシェアしていきましょう。