最近話題になっている「夫源病」。もともとあった言葉ではなく、医師の石蔵文信さんが考案した造語と言われています。
これは、夫が原因で妻に様々な体調不良が出ると言う造語で正式な医学用語ではありません。
正式な病名ではないのですが、夫の行動を改めることにより妻の不調が改善されることから、最近では、立派な「病気」であると考えられています。
この「夫源病」を妻の立場から考えてみたいと思います。
亭主元気で留守が良い
「亭主元気で留守が良い」と言う言葉があります。
これは、夫は元気に外で働いてくれて、妻にとっては「いつも家にいない方が都合が良い」ということを意味します。
これがまったく逆になるのが、定年後の生活です。「夫元気で家にいる」と言ったところでしょうか。
今まで、何十年もの間、仕事一筋でバリバリやってきた夫。
子どもが小さい頃は猫の手も借りたい状態で子育てをしてきた妻。
夫婦で育児をしたくても、夫は働き盛り。そう簡単に早く帰ってくることなどできません。
仕方なしに、ワンオペで頑張ってきた妻は、子供が大きくなるとだいぶ楽になります。
子供も育ちあがり自分の時間ができた妻は、夫を送り出した平日は1日中自分のペースで過ごします。
自分のペースで家事をやり、食べたい時に昼食を食べ、出かけたい時に誰に遠慮することなく出かけます。
今まで子育てを頑張ってきた妻は、やっと自由な時間を手にいれるのが50代です。
妻は、手に入れた自由な時間で自分の楽しみを見つけ、ショッピングや友達との会食、趣味などにいそしみます。
こんな生活を続けてきたある日、突然、うるさい夫が1日中家に居るようになるのが「定年」です。
朝、昼、夜と3食の食事の用意もさることながら、出かけるにもイチイチ報告し、場合によっては干渉される。
一人で出かけようと思っても、「俺も行く」と付いてくる。
常時、機嫌が良ければまだしも、気に入らないことがあると機嫌が悪くなる。
何でも自分でできてあまり干渉しない夫ならまだしも、自分では何もできなくて、それでいて口だけは出すと言う夫だと最悪です。
冷蔵庫チェックなどが始まったら目も当てられません。
何をやるにも一緒の仲良し夫婦なら問題ありませんが、一日中夫のペースに振り回され今までの生活が狂ってしまうと、妻に異変が現れます。
夫源病は人によって症状は様々ですが、頭痛、めまい、吐き気、倦怠感、うつ症状、高血圧などが現れます。
ある妻は、過干渉な夫が退職した後、高血圧になり様々な不定愁訴に見舞われ、ひどい時は寝たきり状態になったと言います。
病院で検査をしても何も悪いところが見つからず、ある日医師から、「夫が原因では?」と言われます。
夫の過干渉が妻の体調を崩していたのです。医師は夫をよんで「夫源病」を詳しく説明しました。
夫は反省をし、また、趣味を持つことで出かける機会が増え、妻の体調不良は改善したそうです。
夫源病は、管理職や重要な役職についていた夫の妻ほど発症しやすいと言われています。
そのような夫は、退職後、家庭でも管理職として口を出すようになるからです。
今まで仕事では部下がやってきたこと、家庭では妻がやってきたことを当たり前と思って横柄な態度が出てしまいます。
この様に考えると、横柄で何もできない夫が1日中家に居るのは妻にとったら苦痛のなにものでもありません。
退職したら「ただのおじさん」と言うことを肝に銘じないといけませんね。
退職前になると仕事でも多少の余裕が出ると思いますので、多少なりとも家事ができるように少しずつ慣らしていくのも良いかと思います。
また、退職して突然趣味を持てと言われても、何をして良いのか分からない男性も多いと思います。
退職前から、定年後は何をするか?どんな生きがいを持つか?などを考えておくことが大切です。
男性の立場から定年を考える
夫源病は、妻の立場から考えた夫の退職後のデメリットの1つです。
では、男性側の意見はどうでしょう。
今まで家族のため、下げたくもない頭を下げ、嫌な上司の元、我慢をしながらやってきた。どんなに遅く帰っても次の朝には起きて会社に行く。朝晩の満員電車に揺られ、やっと解放されるのが定年なのです。
給料のほとんどは家庭に入れ、少ないお小遣いをやりくりしてきた人もいるでしょう。
そこからやっと解放されたのです。
自分のペースで自由に生きて何が悪い!と思うのも当然と言えば当然ですよね。
何も好き好んで1日中家に居るわけではない。俺だって楽しいことをしたいのだ。
妻には楽しいコミュニティがあり、主婦のネットワークがある。趣味もあり、自分のペースで何不自由なく暮らしている。
それなのに、俺はとてもつまらない。
こんなことを思って、憮然と暮らしたり、逆にぼーと暮らしたりすればするほど、妻は夫から距離をおきたいと思うようになります。
夫婦がお互い楽しく暮らす
では、どうしたら夫婦にとって楽しい老後が遅れるのでしょうか。
それは、定年した夫が生きがいを持って楽しく暮らすのが一番の解決方法です。
なにも散財しろとは言っていません。生きがいややりがいは、ちょっとしたことで見つけることができるのです。
夫が楽しそうに生きること、それが妻にも良い影響を与えることになります。
夫婦どちらかが落ち込んでいたら、楽しい老後とは言えませんよね。
男性の健康年齢は74歳と言われています。健康で動けるのは、60歳で定年したら15年、65歳で定年したら10年しかありません。
そのわずか10年~15年、お互い切磋琢磨し合えるような夫婦で居ることが理想ですね。