最近は高齢者や中高年世代の交通事故が、増えていますよね。
アクセルとブレーキの踏み間違い、高速道路の逆走、突然の心疾患や意識喪失などによる事故が、日本各地で毎日のように起こっています。
そんなニュースを見ていると、いつ自分もそんな事態になるかも・・と心配になってしまいます。
運転中に突然病気を発症して起こる事故
中高年になってくると、病気が突然発症する確率がぐーんと高くなります。
腹痛や意識障害、さらには、脳疾患、心疾患など、時と場所を選ばず突然起こってきます。
もちろん、それがクルマの運転中であっても起こります。
ドラゴンボールの「ブルマ」やアンパンマンの「ドキンちゃん」役などを演じた、人気声優 鶴ひろみさん(57)もその1人です。
2017年11月、鶴さんは首都高速道路運転中に突然の体の異変に襲われ、意識不明の状態で見つかりました。
救急車で病院搬送されましたが、死亡が確認されました。死因は、大動脈剝離だったそうです。
大動脈剝離は、体の中心にある一番太い血管である大動脈の内膜に裂け目ができ、そこに血液が入り込んで血管が裂けしまう病気です。
大動脈剝離になると、突然、胸や背中に杭が刺さるような激痛が走ると言われています。
そんな痛みをこらえ、鶴さんはハザードランプを点滅させ、中央分離帯に接触しながらもクルマを停止させたようです。
一歩間違えれば、周りのクルマを巻き込んだ大事故になる可能性がある状態でしたが、最悪の事態を回避できたようです。
警察が進める高齢者の免許の自主返納
中高年の事故が多発する中、警察庁では高齢者の免許の自主返納を推進しています。
警察庁によると、2017年に自主返納した人は42万2033人、その中で75歳以上の人が6割だったそうです。
基本的には運転免許は永久ライセンスなので、免許更新をパスすれば何歳まででも運転できます。
しかし、71歳以上の免許更新期間は3年間となり、更新するには認知機能検査(75歳以上)と高齢者講習(71歳以上)を受ける必要があります。
認知機能検査の結果、記憶力、判断力が低くなっていると判断されると、免許停止または免許取り消しとなります。
しかし、この方法では75歳前に認知症を発症している人や、病気のある人などをチェックすることはできません。
実際、現行のシステムでは中高年の交通事故を防げておらず、毎日のように事故が発生しています。
田舎の高齢者にとってクルマは命綱
中高年の運転免許返納には、切実な問題があります。
過疎地の進む地方では、公共交通機関が撤退し、スーパーは閉鎖され、クルマなしでは生活が成り立たない状態です。
高齢者だけで住んでいる家も多く、病院へ行くのにもクルマは欠かせません。
私の親類でも80歳を過ぎても軽トラを運転して、奥さんの病院の送り迎えをしています。
実際は、運転免許を返納してしまったら、生活が成り立たなくなってしまうのが田舎の現状なのです。
自分でも命を守るには安全装置付きのクルマに変える
そんな中、期待されているのが安全装置の付いたクルマです。
特に、障害物とぶつかりそうな時、運転者に変わりブレーキをかけてくれる「自動ブレーキ」は効果は絶大です。
2020年からの新車には、日本や欧州を含む40ヶ国が「自動(被害軽減)ブレーキシステム」の搭載が義務化されました。
最近は軽自動車でも、安全装置のフル装備が当たり前になってきています。
例えば、ホンダの軽自動車「N-BOX」には、ホンダセンシングと呼ばれる安全装置が標準装備となっています。
<写真 ホンダN-BOXホームページより>
ホンダの安全装置
- 衝突軽減ブレーキ
- 誤発進抑制機能
- 後方誤発進抑制機能
- 歩行者事故低減ステアリング
- ACCクルーズ
- 車線維持支援システム
- オートハイビーム
- 先行車発進お知らせ機能
- 標識認識機能
これらの安全装置は、高齢者のミスをしっかりサポートしてくれ、事故の発生を未然に防いでくれます。
東京オリンピックで自動運転がスタート
2020年は、世界中で初期レベルの自動運転がスタートする年と言われています。
日本でも、2020年の東京オリンピックで自動運転の実証実験を行う計画です。
自動運転の時代になれば、「運転席に人が座っている車は、危ないので近づかない」ということになってきます。
人はミスするけど、コンピュータはほとんどミスは起こしませんし、あおり運転などもしません。
高齢者でも、自分で運転することもなく、安全に車で移動することができます。
これからは、クルマはスピードやスタイルではなく、安全装置がいかに充実しているかで選ぶ時代になってきました。
自動ブレーキーは、古いクルマにも後付けできる装置を、各メーカーが開発中だそうです。
「60歳をすぎたら、車の安全装置は必須」です。まだ搭載されてないクルマに乗っている方は、くれぐれも慎重に運転してくださいね。